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何て話し出せばいいのか……。
私が戸惑っていると、圭も無言でいた。
このままでは、悪戯電話だと思われ切られてしまう。
私はそう思うと、意を決して口を開こうとした時だった。
[……紗希か?]
私の名前を呼んだ圭の声。
それは、昔と変わらず優しい声色で私はハッとして息を飲んだ。
[紗希?紗希なのか?答えてくれ!!]
縋るようにそう呼びかける彼の声を聞いて、私は目を瞑ると一滴の涙が頬を伝った。
私は、携帯を耳から話すと一度大きく呼吸をして、笑みを浮かべた。
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