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『紗羅は、ママが大好きだよ?ママがいつも傍に居てくれて、紗羅は楽しいよ?』
ある時、紗羅がそんな事を口にした事があった。
紗羅は紗羅なりに、私に愛情表現をしてくれたのだと感じていた。
こんなに小さな子でも、気づかない内に、愛するという事がどういう事なのかを、理解していくのかもしれない。
私は、美味しそうにお弁当を食べている、紗羅の頭に手を乗せると微笑掛けた。
紗羅も、私の顔を見ると、ニッコリと笑っていた。
幼少の頃の私は、家族に捨てられたのだと、何も知らずただ、両親を恨んでいた。
だから、周りから与えられる愛情を気づかず、ただ息をして生きて来ただけだった。
人から愛情を受けられていると気づいた時、人は初めて自分から愛情を与える事が出来るのかもしれない。
私は、紗羅には優しく、時には厳しく愛情を注いだつもりだ。
だから、紗羅は私にもその愛情を返してくれているのかもしれない。
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