愛するという事

紗羅は、お弁当を食べ終わると砂浜に駆け出し貝殻集めに専念していた。

一つ一つを指でつまむと、嬉しそうに私に報告してくれていた。

私は、そんな幸せな一時を頬を緩めながら紗羅を見つめていた。

もしこの場に圭が居たら……。

ふと、そんな事が頭を過った。

圭は、必ず迎えに来ると言った。

何度かやり取りした連絡の中では、いつ迎えに来るとかそんな話しは出てきていない。

それでも圭ならいつか迎えに来てくれると、何故だかそう信じる事が出来た。

4年前の私なら、それは不安で信じる事は出来ないでいただろう。

そう、人を愛するという事は、相手を信じるからこそ、湧き上がる感情なんだと、私はこの小さな愛娘から教わった。

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