6683人が本棚に入れています
本棚に追加
/1301ページ
「パパー!!」
紗羅の叫ぶ声に、私は心を震わせていた。
ゆっくりと振り返り、私はその光景を見ると自然と涙を浮かべていた。
紗羅は、黒い髪の背が高い男性に抱きつくと、その男性は紗羅を抱き上げた。
その優しい笑みを浮かべ、愛しそうに紗羅を見つめる彼の髪は、サラサラと潮風に靡いていた。
そして、その愛しそうな瞳はゆっくりと私を捉えると、優しい笑みを浮かべたまま、一歩一歩と私に近づいてきた。
「紗希……」
私の前に来ると、彼は私の名前を呼んだ。
私は溢れる思いを抑える様に、ゆっくりと目を瞑った。
その瞬間、溢れそうになっていた涙の滴が零れ落ちるのが分かった。
そして、忘れもしない愛しい人の匂いに包まれていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!