ひとりぼっち

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両親は、私が3歳の時に他界した。 そう、その日は、私の誕生日だった。 朝、目が覚めいつもの様に、瞼を摩りながら、1階のリビングによたよたと歩いて行った。 そして、リビングの扉を開けた瞬間、不思議な光景が広がっていた。 天井から吊り下げられたロープに、二人の大人が首を括って力なく垂れ下がっていた。 窓から注ぐ緩やかな朝の零れ日に、その吊り下がっているか体は、黒い影を落としていた。 幼心に、見てはいけない物を見てしまったと、咄嗟に思った事を覚えている。 その当時の記憶は曖昧で、父が経営する会社が倒産して、父と母が自殺したのだと知ったのは、私が中学になる頃だった。 遺書には、家や土地、家財道具を売ったお金で会社が背負った負債と社員の給料の足しにして欲しいと書かれていた。 私宛には、ただ一言「ごめんね」と書かれているだけだった。 父と母は、自殺する前にすべて整理を行い、私は施設へと預けられる手配がされていた。 そして二人の葬儀も、倒産した父の会社の顧問弁護士に託すよう遺書に書かれていた。 私は、そんな理由もあり両親の祖父母や親戚の事は全く知らず、児童福祉施設へと預けられる事となった。 .
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