6719人が本棚に入れています
本棚に追加
妙子は、その途端シュンとした表情を浮かべた。
「・・・再婚するんだって」
「・・・どっちが?」
「父親・・・」
「反対なの?」
「反対・・・、じゃないんだけど・・・。でも・・・」
妙子はそう言うと、体操すわりをして膝を抱えると子猫の様に小さく蹲った。
「何が引っかかるの?」
「うん。お母さん、たまに泣いてるんだ・・・。お父さんの名前を呟いて。私には気づかれて無いと思ってると思うんだけど。そんなお母さんを知ってるから、お父さんの再婚を手放しに喜べなくて・・・」
私は、妙子の言葉を聞いて小さく溜息を付くと、妙子の頭を優しく撫ぜた。
たぶんこんな時、誰かの温もりを感じたいんだと思ったからだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!