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「まぁ、返事はいつでもいいから考えておいて。俺の事を少しでも考えてくれると嬉しいんだがな・・・」
「・・・・分かりました。よく考えて返事をさせて頂きます」
そう言うと秋元教授は少し安堵した表情を浮かべた。
「また、“紗希”のお店に顔を出すよ・・・・」
「えっ?教授?」
秋元教授は、普段“有沢”と私の事を呼ぶ。
だけど、ワザと“紗希”と呼んだ声は、誰かに聞かせる為の様にも聞こえた。
その証拠に、『妻とね』と私だけに聞こえる様に、小さな声で付け加えていた。
秋元教授の悪戯に溜息を吐くと、秋元教授は嬉しそうに笑顔を浮かべた。
「じゃあな、彼にも宜しく」
私の肩をポンポンと叩いて、悪戯が成功した様な笑みを浮かべると、秋元教授は颯爽とその場から走り去って行った。
私は、その車のテールランプを恨めしそうに睨むと、小さく息を吐いた。
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