フィールドワーク

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「中学3年の時、当時の顧問弁護士をしていた人に会って、全て話しを聞いたの。両親は、働いている従業員に少しでも迷惑が掛からない様に、財産や家財を全て売って借金と従業員の給料に回す様に指示されていたって。そして足りない場合は両親の保険金も従業員達に渡して欲しいと・・・」 「その弁護士は、親父さん達が自殺するのを黙認していたのか?」 その質問には、私は首を横に振った。 「両親が死んだ後に、事務所に手紙と保険の契約書が届いたそうよ」 そう言うと、圭は溜息を付いていた。 「残りのお金で、私の学費に宛てて欲しいって。両親は自らの命で従業員達を守ろうとしたの・・・。私には、そんな事は出来ないし、他にも方法があったはずなのに・・・」 私は小さく息を吐くと、圭を真っ直ぐ見つめた。 .
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