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死に目に会う事は出来なかったが、葬式には間に合った。
フランスのマリーの両親は、俺を責める事をせず、遠くからよく来てくれたと労ってくれた。
樹は前に会った時より大分大きくなっていたが、まだ幼かったから、マリーの死を理解していないようだった。
そこで、俺は大きな罪悪感を抱えたのだ。
俺は、マリーの病気に気付かなかっただけではなく、病気のマリーに樹の事を任せきりにしていた。
しかも、その時、俺は既に、龍司を…。
その感情は、確かに恋愛感情だった。
俺は、人知れずマリーに詫びた。
決して許されはしないだろう。
だから俺は、マリーの指から自分が贈った指輪を抜き取り、ペンダントにして身に付けて、この先恋人は作らないと誓ったのだった。
それなのに、帰国してすぐ、俺は龍司に連絡を入れた。
言い訳がましいが、礼が言いたかった。
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