樹の場合

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「どうも、巴様とは作りたい物は被らなかったようですね~。でも、キッチンはお使いになるでしょうから、こちらを使いましょう」 僕らは、ピアノ室に行く事にした。 ピアノ室にはバーカウンターがあって、電子レンジくらいならあるので、ちょっとした物だったら作れるようになっている。 そこで、僕は朔夜くんの指導の元、トリュフを作った。 見た目もそこそこ良くて、朔夜くんが上出来だと誉めてくれた。 トリュフを箱に詰めたのはいいけれど、何か物足りない事に僕は気付いた。 そうだ。カードをつけましょうか。 僕は、巴の目を盗んで、部屋からカードと筆記用具を持ってきた。 筆記用具…この万年筆は、誕生日に巴がくれた物だ。 さて、何と書いたら伝わるでしょうか。 巴への愛。 巴と再会できた喜び。 巴が側にいてくれる奇跡。 とても、言葉にはしつくせない。 それでも僕は、一つの言葉を選んでカードに書いた。 それから、トリュフを冷蔵庫に隠して、クレセントへバイトに出掛けた。
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