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箱には小さなカードが付いていて、そこには一言
ありがとう
僕が書いたのと一緒だ。
びっくりするやら嬉しいやら。
僕も慌てて自分の贈り物を樹に渡した。
樹も僕のカードを見て、驚いたようだ。
そして、にっこり笑う。
「何だか、テレパシーみたいで嬉しいですね」
「本当だ。嬉しい」
僕たちは、目を合わせて微笑み合った。
「開けてもいいですか」
「いいよ。じゃ、僕も…」
樹のくれた箱には、トリュフが入っていた。
「これ、君が作った?」
「ええ。見た目がイマイチで申し訳ないんですが…」
そんなことはない。
僕は樹がいかに不器用か知っているから、このトリュフを凄く一生懸命に作ってくれたことがわかる。
見た目なんてどうでもいい。
僕はその気持ちが嬉しかった。
「これは巴が作ってくれたんですね」
「そう。エミールさんに教えてもらった」
「それにしても、流石に完成度が高いですね」
僕の提案で、ブラウニーの上には金箔の小さな星が散らしてあった。
「ありがとう。食べてみて」
緊張しながら、樹の表情を見ていると…
「とっても美味しいです」
笑顔だったから、ほっとした。
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