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材料を調達して家に帰ると、早速作業開始。
エミールさんの指示はとてもわかりやすくて、あっと言う間にブラウニーは完成した。
「ありがとうございました」
「私は何もしていません。作られたのは巴様ですよ」
エミールさんはそう謙遜したけど、間違いなくエミールさんがいなかったら完成しなかった。
「いやいや、エミールさんがいなかったら、できなかったです」
「ありがとうございます。また何かあったら仰って下さいね。私でよろしければお力にならせていただきます」
そう言って頭を下げたエミールさんに重ね重ねお礼を言って、僕は部屋に引き上げた。
部屋に樹はいなかった。僕がエミールさんの所に行った時は部屋にいたのに。
まあ、いいか。
エミールさんに教えてもらってラッピングはしたんだけど、カードを付けたかったんだ。
色々考えて、僕がカードに書いた言葉は
「いつもありがとう」
ただそれだけ。
樹のことはすごく好きだけど、好きだの、愛してるだのって書くのは何だか恥ずかしかった。
僕は、ブラウニーをクローゼットに隠して、クレセントへ出掛けた。
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