単の場合

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クレセントへ出勤し、いつも通り仕事をしていて、そう言えば、明日はバレンタインデーなのだと気が付いた。 龍司は毎年何かとくれたが、今まで自分からやった事はない。 今年は、一応恋人だから何かやった方が良いのだろう。 仕事が終わり、家に帰って龍司が寝た後、俺は計画を実行した。 リビングの棚にある、龍司のレシピノートを取り出して、パラパラと捲る。 何頁か見ていくと、汚い字が並ぶ中に、求めていたレシピがあった。 普段、菓子なんか作らないから、悪戦苦闘しつつ、何とか焼き菓子を焼いた。 出来上がったそれは、見た目はひどかったが、味はそれなりだった。 俺はそれを、小さな紙袋に詰めて、そっと部屋に戻った。 龍司が眠っているのを確認し、鞄の中に紙袋をしまい、眠りに就いた。
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