一章

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木造二階建、一階は大きな食堂になっている“風味堂”という名前の宿屋は旨い・安い・量が多いと三拍子揃った評判の店で、店内には客がごった返す中、一人黙々と飯をがっつく男がいた 身長は二メートル近く、体付きは細身だがかなりの筋肉質だとわかる 髪は黒の短髪、右目を横断する縦の傷と鼻の中程を横に走る傷が十字を描くその顔は何処か寡黙な印象を与える 男は黒い長ズボンに黒いシャツ、その上に体の各急所と間接を守るように鎧のパーツを装備していた コトン 男は空になった飯の皿をお盆に並べ、食器をカウンターに持っていくとそこにいた宿屋の店主はニカッと笑い 「いつも悪いなシンジ、あわせて500ドニだ」 チャリンと銅色の硬貨を五枚並べた男は 「ご馳走様」 それだけいってそそくさと出ていく。その背中に店主は 「今日も頑張ってこいよシンジ!」 そう声を掛けられた男は背中を向けたままヒラヒラと手を振るのだった
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