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ガタン!
「………ん」
体を一瞬揺さ振る感覚に誘われ、ふと意識が戻ると視界に映るのはさっき乗った乗り合い馬車……まあ現代で言うとタクシーの馬車バージョンで、七人ほど纏めて客が乗れるやつに乗った時に知り合ったおっさんと目が合う
「おう、目が覚めたのか……なんか難しい顔してたけど夢でも見てたのかい?」
「……ああ、懐かしい夢を見た……あまり思いだしたくもないものさ」
「なんだ、孤児かなんかだったのか?」
「まあそんな所だ」
その後俺はその夢の話題に触れてほしくなかったので当たり障りのない話しでその場を濁した。
向こうもそう言うところはわかっているのか夢の話にそれ以上触れなかったしな。
夢の続きは馬車が石かなんか踏んだ衝撃で見れなかったが大体先は読めている。
真っ赤な視界……倒れゆく仲間……託された約束
…………
駄目だ……こんな思考では成功する仕事も失敗しそうだ。
気持ちをニュートラルに戻すよう深呼吸を一回……よし
小さなゆれと馬の風景が止まったのを確認して馬車のドアを開けた俺は直ぐ様馬車から出ていく
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