希望の光

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起き上がって しばしボーッとした。 見ていた夢が 早回しで脳裏をかけめぐる。 夢の中の俺は 大企業中の大企業に合格して、みんなから羨望の目で見られていた。 なんて幸せな幻だ。 フッと笑ってそんな自分を馬鹿にした。 そんな時、ベッドサイドのテーブルに置いてある、求人誌が俺を呼んでいるような気がした。 なので、俺はいちよう、それをペラペラとめくってみた。 すると、一箇所に視線が止まった。そこには大企業中の大企業の求人が載っていた。 受けてみろという心の声が聞こえてきたが、 「無理だよ…。」 俺は求人誌を閉じてしまった。 トントントン 「お兄ちゃん。」 妹の声がした。 「どうぞ。」 入ってきた妹の瞳はキラキラとしていた。 「私、通電に受かったの!」 「え?」 俺の頭は驚きすぎてショートしそうだったが すぐさま言った。 「おめでとう!」 「ありがとう!」 お礼を言うと、妹は鼻歌を歌いながら、下に降りていった。 階段を降りる音が聞こえなくなると、 俺はさっき閉じた求人雑誌を開いて、大企業中の大企業の求人に印をつけた。
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