女性の彫刻

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博物館はいろんな寄贈品が多い。 処分に困り、歴史価値はあるからと博物館に持ってくるのが大半だ。 中には『いわくつき』と呼ばれるものもある。 それらは、収蔵庫にいれられる。 博物館は長方形の形をし、中で四当分されている。 裏方の廊下は四辻のような感じだ。 収蔵庫からまっすぐ伸びた廊下は展示室へと繋がる重たい扉がある。 事務室の隣の館長室から裏口までまっすぐの廊下。 収蔵庫手前は二つの廊下の線がクロスしている。上から見たら+だ。 収蔵庫手前の廊下に、彫刻作家の作品が長机の上に並べられている。 収蔵庫には、しまう場所がないから廊下においてるらしい。 どうやら、彫刻作家が亡くなり作品の処分を困った家族が、博物館に寄贈したらしい。 作品は地蔵菩薩3体、不動明王1体、さる、鶏、猫、犬、うさぎ。栗に無花果とたくさんある。その中に、裸の女性が片手に子供を抱いている作品がある。 一目見た時から、これが怖かった。 子供は母親を見ているのに、女性はどこか空を見ているような感じだ。 トイレに行くためには展示室に行かなければならない。 タイムカードを押しにいく時とトイレに行く時は、この彫刻の前を通らなくてはいけない。 作品の腕は素晴らしい。どれもリアルなのだ。 そして、この四辻は霊道が通っている。 そこに彫刻があるわけで…。
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