女性の彫刻

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一週間後。 可愛らしかった犬の彫刻は、人面犬になりつつある。 犬の顔がおっさんになってきているのだ。 要原さんが笑って 「邪魔よねぇ、これ。土師さん、猫好きでしょう?猫の作品だけ持って帰ったら?きっとばれないよ。」 「嫌ですよぉ。」 猫は大好きだ。猫博士というあだ名を吉岡さんから付けられる位猫好きだ。 しかし 「この猫、怖いですもん。」 初めは、まんまるのアーモンド型の瞳が…今や吊り上がってる。 2週間後。 犬は人面犬になりとげ…裸婦の彫刻は、 そのまま放置して管理状態が悪いのか… 女性のお腹、おへその下あたりに小さな亀裂が入った。 日を重ねるごとに、その亀裂は深まってくる。 4週間後、亀裂は胸下から下まで入った。 その亀裂から白いものが覗く。 最初は、ただ中の木の色が出てるんだろうと思った。 白いものは、だんだんと姿を見せてくる。 5週間後 …女性の腹の亀裂から骨のような白さの、ぶよぶよとした胎児の小さな手が なにかを掴むように伸ばしていた。 「ひぃぃぃぃぃぃ!」 館長も、ヤバイと感じたのか 厳重に梱包し収蔵庫へとしまわれた。
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