5人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
一週間後。
可愛らしかった犬の彫刻は、人面犬になりつつある。
犬の顔がおっさんになってきているのだ。
要原さんが笑って
「邪魔よねぇ、これ。土師さん、猫好きでしょう?猫の作品だけ持って帰ったら?きっとばれないよ。」
「嫌ですよぉ。」
猫は大好きだ。猫博士というあだ名を吉岡さんから付けられる位猫好きだ。
しかし
「この猫、怖いですもん。」
初めは、まんまるのアーモンド型の瞳が…今や吊り上がってる。
2週間後。
犬は人面犬になりとげ…裸婦の彫刻は、
そのまま放置して管理状態が悪いのか…
女性のお腹、おへその下あたりに小さな亀裂が入った。
日を重ねるごとに、その亀裂は深まってくる。
4週間後、亀裂は胸下から下まで入った。
その亀裂から白いものが覗く。
最初は、ただ中の木の色が出てるんだろうと思った。
白いものは、だんだんと姿を見せてくる。
5週間後
…女性の腹の亀裂から骨のような白さの、ぶよぶよとした胎児の小さな手が
なにかを掴むように伸ばしていた。
「ひぃぃぃぃぃぃ!」
館長も、ヤバイと感じたのか
厳重に梱包し収蔵庫へとしまわれた。
最初のコメントを投稿しよう!