はじまり

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私の名前は土師 縄文(はじ じょうもん) ふざけた名前である。この名前のせいで一時期歴史が嫌いになったことがある。 単純明解、縄文時代でからかわれるからだ。 因みに妹の名は弥生という。 姉妹揃って、縄文、弥生なんて笑える所か泣けてくる。 一重に祖父が歴史が、というよりも土器が好きだったらしい。だからって、孫に土器の名称をつけるなよ、と文句を言った所で仕方がない。 名前のことは横に置いておいて本題に入ろう。 私はこの町が合併される4年前まで発掘のバイトをしていた。 若いのに、発掘? とよく言われた。 それにはちゃんと訳がある。 発掘現場が祖母が管理する神社だったからだ。 4年前に発掘は終わり、短期のバイトをのらりくらりとやって、次のバイトはどうしようかと探していた時だ。 一本の電話がかかってきた。 「ねぇ、あんたまた発掘のバイトしない?」 開口一番に叔母の角宮 花枝(つのみや はなえ)は、そう言ってきた。 「なんかね。また角山を発掘するらしいのよ。」 「えッ、終わっんじゃあ。」 「またやるんじゃないの。それでね、桃井先生がバイトを探してるのよ。」 桃井先生は角山遺跡発掘の調査員であり上司だった。 「へー。」 「あんた、今暇でしょ。ここに行きなさいよ。」 叔母のことに逡巡する。 そろそろ蓄えが無くなってきているから、この話は渡に船。 しかし、また角山か。と、なると迷う。 遺跡現場まで着くのに一時間はかかる。仕事の前に山登りである。いや、山登りも仕事の内だというのか。 「うーん。ちょっと考えさせて」 「急ぎなのよ!今日の夕方までに先生に連絡しなきゃいけないの!5分で決めなさい!いえ、今すぐ決めなさい!行け!」 これはもはや強制ではないのか。 私は観念した。 「わかりました。行きます。」 「でね、後もう一人欲しいのよ。あんたの友達で誰かいない?」 「発掘やろうなんて子はいないさ。」 「そっかぁ↓。あっ、翔太がいたわ。あの子に行かせましょう。」 叔母の中で全てが決まっていくようだ。
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