「アスリートの限界」と「零崎のススメ」

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ズドンッ!!! 「おやおや、今の衝撃音は一体何なんだろうねえ?」 自分の感覚を頼りに建物内を歩いていた零崎双識は、途中、好みの少女を見つけたのであとをつけてみた。 二兎追うものは一兎も得ず。 結果、双識は少女を見失いさらに館内で迷ってしまった。 「やれやれ、こんなことなら新しい家族のことなんか放って置いて、あの可憐な少女を追っかけといたほうが良かったよ。が、しかし」 双識は目を瞑り、耳を澄ました。 「あれほど衝撃音、建物全体に轟いているだろう。となると人が集まるのも時間の問題かもしれないしね、先にやるべきことをやってしまおう」 双識が所属する「零崎一賊」、それは血の繋がりではなく流血によってのみ繋がる一賊。 その集団性の側面を端的にかつ、乱暴に表現するならば「気が合う仲間の集まり」である。 「気が合う」が関係しているかどうか定かではないが、一賊同士は共振によりお互いの位置がなんとなく分かるのだそうだ。 双識は己の感覚を頼りに、音のした方向を目指した。 そして、一つのドアの前に行き着いた。 ノックをしてみる。 「・・・」 何の返事もなかった。 しかし、間違いなく人の気配を感じる。 「ここだな。間違いない」 確信している双識は、一切の躊躇なくドアを開けた。 双識が見た光景は、頭が砕け散り血の海に横たわる少女とその近くで仰向けに横たわる男の姿だった。
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