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「あ、あなたは?」
「今は、のんびりと自己紹介なんかしている場合ではないと個人的には思うのだけれど、この際だ。先に済ませておこう。私は零崎双識というものだ。君は誰だい?」
「俺は天然堂小暮。今日の大会の選手です」
「なるほどなるほど。それでは小暮君。あそこに横たわっている美しい少女は君の知り合いかな?」
双識は小暮の手を取り上半身を起こしてあげながら、もはやただのタンパク質の塊の方を指差す。
「なっ!?じゅ、純菜?何で純菜が?俺の妹が?」
起きかけた小暮の身体から、再び力が抜けていく。
双識は慌てて支えてあげた。
「あのお嬢さんは妹さんだったのかい?そいつは御愁傷様だねえ」
双識は悲痛な面持ちで、ポツリと言った。
そして小暮が一人で立てるようになってからゆっくりと離れる。
「それで、だ。この部屋で何が起ったのか、私に教えてくれないか」
「お、俺はここで純菜と、妹と喋っていたんです。すると突然、目の前が真っ暗になって。気がついたらあなたがいて、純菜はあんな事に」
「ふむふむ」
双識は、まるで小暮の話に興味が無いというような素振りで相槌を打つ。
いや、視線は死体の方へ向いているので実際に興味がないのかもしれない。
「ああ。そいえば確認しておきたい事が一つだけあった」
いかにも「ついでに」という様子で双識は聞く。
「今、この部屋に私たちがいるという事を知っている人間はいるのかい?」
「沙汰懸命という俺の親友だけです」
「おや。そうなのかい?それは好都合だ」
少し驚きの表情を浮かべてから、双識は微笑んだ。
それを見て、小暮は何かに気付いた表情になる。
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