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ある地方都市の市民体育館で無理やり生命活動を停止させられた少女が発見された。
死因は頭蓋骨陥没。
原因はプロの検死官が見れば一目瞭然。
ただ、その少女にはベテランの検死官でも納得出来ない奇妙な謎があった。
床一面に流れ出した赤い液体の中心に仰向けに倒れた少女の体。
後頭部は砕け散って外殻どころか中身を撒き散らしていた。
首の骨は折れ曲がって肉を突き破り、一目見れば少女の体に命の宿り様がないことを確信できる。
少女の傷はこれだけだった。
思わず目を背けたくなるような悲惨な死体。
そこに残った謎というのは「結果」ではなく、「過程」であった。
少女は、床に接した後頭部を損傷している。
それは、つまり「床に叩きつけられた」ことを意味する。
そんなことは、イチイチ言葉にしなくても分かるようなことだ。
しかし、それにしてはあまりにも死体の損傷が激しすぎた。
ただ単純に叩きつけられたで済ますには、あまりに人外じみた破壊力。
飛び散った少女の破片は、四メートルの正方形の形をした部屋の隅からも発見されている。
しかも、強く叩きつけられた跡は一回分しか見つからなかった。
この死体を最初に見た警察関係者は、高層ビルからの転落死体を思い出したという。
たかだか二メートルの高さしかない部屋で発見された、高所から落ちたような傷を負った少女。
この謎を解明するため、警察は事件当日から姿を消した二人の男の行方を追うことになった。
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