「アスリートの限界」と「零崎のススメ」

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「おっ、いたいた」 ドアを開け、声をかけてくる大柄の男。 そこには小暮に見知った顔があった。 実行委員ではないのでホッとする。 「なんだ、驚かすなよ」 「ヘッヘッヘッ、黙って部屋を使用する方が悪い」 ドアを開けた男も、小暮に負けず劣らず立派な体躯だった。 短かめに刈り上げたスポーツ刈り。 少し、銀色のメッシュが入っている。 もう着替え終わっているのだろう、上からジャージを羽織っていた。 名前は、沙汰 懸命(ざた けんめい)今大会の優勝候補の一人で小暮の長年のライバル。 ちなみに二人は共に二十歳。 「小暮、やっとお前との関係も今日で終わりだ。オレはお前を倒して優勝する!」 「フン、返り討ちにしてやるよ」 二人は何回も大会でぶつかり、競ってきた。 現在の戦績は全くの五分。 顔を合わす機会が多かったので気が付いたら会話を交わすようになり互いの間に友情を確立する間柄になっていた。
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