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「ところで懸命、何でオレがここに居るのを知ってたんだ?」
「うん?ああ。純菜ちゃんに聞いたんで」
「な~るほど」
小暮には三歳年下の妹がいる。
名前は純菜(じゅんな)。
首が隠れるほどのセミロングの髪は漆黒で美しく、反面、肌は太陽の存在を否定するほどの真っ白。
小さな顔に付いている唇は「紅い」というよりは「桃色」で、そこから発せられる声は華奢な体つきにしては大きく、今日のような大観衆の中でも聞き分けられるほど澄んでいる。
「いや~。それにしても純菜ちゃん、また一段と可愛くなりましたよね、お義兄さん」
「アホ!お前にそういわれる筋合いはねえ!」
「じゃあ、シスコン野郎」
「帰れ!!」
この会話から察せられると思うが、懸命は純菜に好意を寄せている。
そして、小暮は小暮で妹を溺愛していた。
「まっ、冗談はさておき。今日は正々堂々と雌雄を決しようじゃないか。我がライバル、小暮よ」
「当たり前だ、もうオレ達兄妹の周りをウロチョロ出来なくしてやるぜ」
「小暮という邪魔者を退けたあかつきには、いよいよ純菜ちゃんと・・・ヘヘッ」
「冗談はさておくんじゃなかったのか?」
「冗談じゃないよ。本気だから」
「余計にタチが悪いわ。でも、まあ、純菜のことに関しては、どーぞお好きなように」
「えっ、いいの?さすが!!器がデカイ!」
「無駄だと思うし。純菜はオレに重度にベッタリだから。とにもかくにも」
一転、小暮は真面目な顔つきになり、右手を差し出した。
懸命は勝手知ったる感じで、それを握り返す。
「懸命、結果は全て試合だ」
「ああ、あの場所ではオレもチャラけるつもりはない。また、あとでなライバル」
そう言って懸命は部屋を出て行った。
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