第一章

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  夜道にこだまする心地好い排気音。連続して立ち並ぶオレンジに輝く優しい外灯。大きなクレーンが眠ってる…。寝息をたてて眠ってる。アクセルをあけながら、そんな風に僕の目には映った―。  綺麗に陳列されたコンテナの間をすり抜け岸壁にバイクを停めればヘッドライトが海面に揺れる。潮風に吹かれてジェットヘルを脱げば海の匂いが懐かしい気持ちにさせた。 そしてエンジンを止めて停泊した大きな船を眺めると…さざ波に揺られて船もまた眠ってるようだった。 またメンソールを取り出して静かな海を眺めて火をつける。一人っきりの夜に何を求める訳でもなく過ぎ去りし時の流れを吐き出す煙りに重ねてみた―。    
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