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―翌朝―。
“間もなく1番ホームに、
高畑行き、
栄方面の電車が参ります。
白線の内側でお待ち下さい"
白線の内側、点字ブロックの上で定期券と財布ぐらいしか入っていないのに幾分大きな鞄をぶら下げ、覚めきれない頭を抱えてアナウンスに従い地下鉄を待つ。
右手に携帯電話を持ち地下鉄がやってくる暗いトンネルの先に目を凝らした。鈍よりとした朝の空気は地下鉄が近づくにつれてスーツの上着をなびかせた。
小さな二つの光りは段々と大きくなり汽笛を鳴らし一気にプラットホームに流れ込む。
『あっ…ごめんなさい…』
足早に女性専用車両を目指す女性が僕にぶつかり頭を下げる。だから僕も連れて頭を下げた。
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