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扉が開いて、ぎゅうぎゅうと押し込まれ、助けを求めるように吊り革に手を伸ばす。
この吊り革に掴まる行為こそ今日も一日働きますと、いつの間にか会社に忠誠を誓わされてるようで何年経っても好きにはなれなかった。
だけど掴まらなければ何かの拍子に女性の胸やお尻に手が当たってしまう可能性も無きにしもあらず。
だから冤罪が怖くて吊り革に掴まった。そして地下鉄の扉が閉まり僕は会社へと護送される。
すると二重人格のように別人格になる。そんな自分自身が滑稽だけど悪くない。現実の世界では誰にも気づかれていない。誰ももう一人の僕を知らない。小説のようなものを書いてることさえも―。
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