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金曜日の夜、両親がそろって帰ってきた。 トランクの他に荷物をいくつか抱えて。 何が「一週間アメリカ」だ。 それは出国から10日後のことだった。 「おかえり」 「ただいま。  はぁ、つかれた・・・」 母が顔をしかめながら軽く伸びをした。 父は僕を一瞥すると、そのまま2階へ上がっていった。 たぶん着替えるのだろう。 「優也、おみやげあるわよ」 「へぇ、珍しい」 「ほら」 母がくれたのはアメリカの雑誌だった。 しかも女性ファッション誌。 「なにこれ? 姉さんに?」 「ちーがう。ちょっと貸して」 そう言って僕の手から雑誌を奪い取ると母はパラパラとページをめくり 「あった! ほら、これ!」 ページを指差しながら、僕に雑誌を差し出した。
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