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翌朝学校に行くと、もうかなちゃんの机と椅子はなくなっていた。
先生もクラスのみんなも何一つ変わりなく、一日が過ぎていく。
かなちゃんとよく一緒にいた陽子ちゃんも、彩ちゃんも、それが当たり前みたいに二人でおしゃべりしている。
「陽子ちゃん」
僕が呼ぶと、陽子ちゃんと彩ちゃんが振り向いた。
「かなちゃんのこと、知ってた?」
「…転校のこと?」
「そう」
「知ってた」
ヒュっと僕の息を飲む音が響いた。
「………いつから?」
「さぁ、2週間くらい前かな」
ああ、なんだ。
僕は全然、特別なんかじゃなかったんだ。
きっと、先生はもっと前から知っていたんだろう。
「…そっか。ありがとう」
二人に背を向けて校庭へ向かった。
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