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午後は、水泳の授業だった。
最後の数分間だけ自由時間がもらえたが、僕はぷっかりと浮いて過ごした。
普段なら水中鬼ごっこをしているところだ。
いつも遊ぶ仲間が、不思議そうに僕を見てる。
「ゆうやくん、何してるの?」
「…死体ごっこ」
「………」
たまには担任の先生を困らせてみるのも悪くない。
「気持ちいいよ。先生もやってみたら?」
「…先生はやめておくわ」
気持ちいいのに。
なぁんにも考えなくていい。
水の上に浮かぶ泡みたいな気分。
僕のなかでは空気じゃなくて、もやもやしたものが渦巻いているけど。
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