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リンは砂利道をジープで走らせていた。
サングラスをかけ、適当にラジオを付け、タバコをふかしながら、土埃を上げて走っていく。
助手席に紙切れが置いてあったが、さっきのカーブで風と共に、ジープの外に飛んでった。
しばらくすると、高いフェンスで囲まれた施設に着く。
入口では検問をしているようだ。
ジープを進める。
検問「ここは軍事施設だ。何の用だ?」
リンはめんどくさそうに答える。
「その軍事施設とやらにいる奴に呼ばれたのよ」
検問「召集状は?」
リン「飛んでったわ」
検問「と、飛んでっただと!?召集状がなければ通すわけにはいかん!それに、あれは国家書類だぞ!」
リンはタバコを消ながら答える。
「あら、それは大変。なら探しに行かなくちゃ。2~3個前のカーブあたりよ。じゃ、頑張って」
リンはアクセルを踏み込み、半ば無理矢理、通過する。
検問「あっ!おい!待て!」
リンは無視してジープを走らせる。
バックミラー越しに、また新たな車がやってくるのが見えた。
リンはジープを駐車場に停めた。
長い黒髪を束ねて、ペットボトルの水を飲む。
そして、腕時計に目をやり、歩き出す。
すると隣に、さっきの車がやって来て停まる。
中から若い男が下りて来た。
「やぁ、ここの駐車場に停めるって事は、もしかして君も召集された感じ?
女が一人いるって聞いてたから、そうだろ?同じメンバーって訳か。
俺はJD。よろしく。
随分な、やり手だと聞いてるけど、ホント?」
差し出された手を無言で握り返すリン。
呆れたような、鼻で笑っているような表情だ。
手が離れると、さっさと歩き出すリン。
JDは慌てて追い付く。
JD「バディの件、聞いてる?今日中に自分たちで決めるんだってね。俺、君にするよ。君、スタイルいいし、キレイだし、タイプなんだ。どう?軽く見えるかもしれないけど、自分と君くらい守れるよ」
リンは鼻で笑いながら、建物のドアを開ける。
中にはテーブルと椅子がいくつか並べられ、前にはホワイトボードが1台あるだけだった。
そして、前のはじに男が一人、小さくなって座っている。
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