ナイト

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年末最後の授業の日。 いつものように借りたベンチコートを返そうとすると 「それ、預けとく」 と、彼が受け取らないのです。 「なんで?」 あたしが不思議そうな顔をすると、 「来年まで貸してやるよ。寒いだろ?」 と言うのです。 「でも、そしたらSくんが寒いじゃない」 「いいんだよ、オレは風の子だから!」 「うーん、でもさ、コートどこやったのってお母さんに怒られない?」 「そ、それは…」 お母さんワードに引っ掛かる可愛らしい男前☆ そこでひらめいたあたしは切り出しました。 「じゃあさ、約束しよう!」 「?」 「来年最初の授業にも元気にこれを持ってきて。そしたらまた貸してよ。ね?約束。」 「おう、わかった。」 こうして彼はベンチコートを颯爽と羽織り帰って行ったのでした。 もちろん、約束もちゃんと守ってくれました😌 今思うと、風邪をひきっぱなしで毎度マスクをしていたあたしを心配してくれたのかもしれません。 そんな優しい彼が、いつまでも真っ直ぐな心を持っていてくれますように☆
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