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「……で。愛しの土方さんに現代でも会えたのに、余計な事ばかり考えて何も話せなかったんだ。」
「違うもん。土方さんじゃなくて、相川先輩だもん。」
昨日、あれから俊也と共に帰った珀月だったが、緊張のあまり、何も話せなかったのだ。
朝、何故か迎えにきた光輝に昨日の事を聞かれ、すべてを話したのだが、呆れた顔をされてしまった。
唯一、幕末での記憶をすべて覚えている光輝。
現代に戻ってきた珀月を心配して、こうして朝から珀月の元へと来たのだが、それはどうやら正解だったようだ。
「まぁ、そうだろうとは思ってたけどさ。だって、綾瀬ちゃんは過去のみんなと離れたのはつい最近でしょ。あの頃の綾瀬ちゃん、辛いこともあっただろうけど、土方さんの話をしている綾瀬ちゃんは本当に幸せそうだったもん。だから、尚更辛いよね。」
確かに、あの頃の私には幸せと呼ぶには、あまりにも悲しすぎる出来事もあった。
でも、それでもやっぱり土方さんの隣に居れたことは幸せだった。
ずっと側に居たかった。
……もう、どうしようもない事だけれど。
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