鬼を狩る組織

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 この世界は大まかに西国と東国、その境にある中央【イートランティス】に分かれている。私が住んでいるのも、私が入隊する【鬼狩】の本部があるのもここ【イートランティス】だ。  その敷地の中でも一際大きい、何十階もある建物の中へ自動ドアをくぐり入る。白い床とオレンジ色の電灯が部屋を照らすロビーが、私や他の新入隊員達を迎える。  隊服は、試験の合格証明の証にもなっている。周りを見渡せば、屈強な男性、自分にも他人にも厳しそうな女性が大勢いて、自分が場違いに思えてくる。 「新入隊員の方々はこちらに武器の提示をお願いします!」  そう言っているのは、黒い忍装束を着た男性――いや、よく見ると包帯が体全身と右目を覆うように巻かれている。赤い瞳が私を捉え、にこりと微笑んだ。 「お名前と武器提示をお願いします」 「ユウイ・メシアズです」  彼は暫くどこかと連絡をとっていたようだったが、またこちらに笑顔を向ける。 「入隊おめでとうございます。では、奥に進んで右に曲がれば入隊式会場です。後は隊員に従ってください」  私は彼に礼をし、奥に進もうとした。しかし何か引っかかり、振り向くと彼と目が合う。鋭い瞳は、先ほどと打って変わって私を射抜くようだった。  私はその視線をすぐさま逸らし、会場へと向かう。
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