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「…僕は、千秋さんが、不潔だなんて、思わないよ。
この里緒菜が、千秋さんを映している影なら、考えてる事、思ってる事は、千秋さんの心だよね…。
彼女は、すごく純粋だと、僕は、思う。…とても、素敵な女性だと、思うよ。
だから、千秋さんも、純粋で、素敵な女性だよ。
だから、僕は、あなたを好きになったんだ…きっと。
お願いだから、自分を卑下するような、そんな言い方しないで…。」
「ありがとう…。」
千秋は、和樹に、今まで見せたことがない笑顔を返してくれた。
「変な事、聞いて、ごめんなさい…。
今の話は、胸の中に仕舞っとくよ。」
「…言うことが、1年前とは、段違いだな。
成長したなぁ、和樹も…。」
「速水さん…お願いですから、子供扱いは、そろそろやめてください。
いつまでも、マセ餓鬼なんて、呼ばせませんから!」
「…ちゃんと、男としてのけじめ、つけられたら、大人扱いしてやるぞ。」
速水は、わざと、笑って、返す。
「酷っ!…それを、今、持ち出しますか?!」
「…何の事?」
「千秋さんには、関係ない事です…。」
「ちょっとした人生相談に、こないだ、乗ってやったんだよ。男同士の話だ。…気にすんな、千秋。」
「…ふうん、男同士の話ね。」
「そう、だから深く追求しない。わかった?千秋。」
仕方ないわね…と、ちょっと、不服そうだが、千秋は、元の作業を始めた。
速水は、和樹に、今日は、もう帰っていいと、告げた後、本を、郁美に持っていくの忘れるなと付け足す。
鞄に、2冊、本を仕舞うと、「それじゃ、また。」と頭を下げて、帰って行った…。
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