PRESENT

6/53
前へ
/216ページ
次へ
谷口さん、本当に、私なんかと、付き合いたいのかな? あれから、仕事の都合をつけて、暇があったら、事務所に、覗きに来る。 それで、私と、ひとしきり話をして、帰っていく…。ただ、それだけ…。 吉水先生の原稿が、目的の時は、きちんと、仕事して帰っていくのよね…私には、目もくれずに…。 最初に会った日みたいに、付き合ってとかは、言わないの…なんなんだろう。 10月後半の、そんなある日…。 「だいぶ、段取りよく、言われたことが、出来るようになったな。 そろそろ、本番いくか。 千秋の次回作、丸岡から出してもらえる約束なんだが、どういうコンセプトで、いくつもりだ?」 「…えっ?、私が、決めるんですか…。」 「当たり前だ。お前は、千秋の担当者だろう? 千秋の書きたい物は、勿論、聞いてやってよ。 だけど、丸岡が、OK出せない物だったり、そっちが、考えてるコンセプトに、合わなきゃだめだろう…。 一人で決められないなら、杉山さんに、相談する。 ただし、今回だけだ…。 次からは、全部、自分一人で、やってもらうからな…。」 私に、出来るわけないよ…誰か、助けて…。 そう思っていたら、谷口さんが、来た…。 「…あれ?昴ちゃん、なんて顔してんの?」 「うわぁ!天の助けだ!」 「…天の助けって、俺が?」 ウンウンと、昴が頷く。 速水に言われたことを、谷口に話した。 「相談したら、杉山さんは、きっと、完璧なアドバイスをくれると思うんです。…でも。」 「…相談したくないんだ。」 昴は、小さく頷く。 「なんで、俺ならいいの?…俺、ライバル会社の社員だぜ。 相談のる振りして、君の企画、横取りしちゃうかもよ…。それでも、いいの?」 「…谷口さん、そんなこと、する人じゃない。」
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

678人が本棚に入れています
本棚に追加