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「…よく考えてみてよ。
俺と君、たとえ、あの事務所に、出入りしていても、どちらかが、声をかけなきゃ、ただのライバル社の担当同士だよ。
君が、俺に、声をかけてくれたから、今、こうやって、腹割った話ができるわけでしょ?
千秋ちゃんとも同じだよ。
いきなりって訳じゃなく、もう、何週間も、あの事務所に詰めてる訳だし…。」
「でも、仕事と、そうじゃない事とは…。」
「違わないよ。…どっちも、君が、やるんだから。
ねぇ、なんで、そんなにびくついてるの?
俺が見てる範囲じゃ、君は、ちゃんと速水のオーダーに、答えているよ。
あいつは、基本、女には、優しい奴だよ。
だけど、仕事は別…。出来なけりゃ、女だって、容赦しないから。そういう奴なんだ。
その速水が、いくら、丸岡から頼まれたからって、こんなに気長に、付き合ってくれるなんて、普通ありえないよ。
君は、チャンス、もらってるんだ。きっと…試されてんだよ、速水に…。」
「…私が?」
「そっ、君がね。…ここで、一踏ん張りできれば、君の評価は上がるよ。
後ね、多分だけど…杉山さんは、君に期待してるんだと思うよ。期待に応えなきゃ。」
「…そんな事ないです。だって、私、ミスして、担当外されたんですよ。
この半年近く…社で、ずっと、雑用しかさせてもらえなかったんですよ。
みんなから、白い目で見られて…。」
「そっかぁ。辛かったね。…なら尚更、みんなを見返す仕事しなきゃね。」
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