PRESENT

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谷口さんは、優しい…。 私のために、自分の時間を、融通してくれる…。 私が、出来る事は、それにこたえられるように、結果を残すこと。 11月になって、吉水先生の新刊の企画が、本格的に動き出した。 「吉水先生は、どんなの考えているんですか?」 「沖縄に、行った時にね、琉球硝子の工房に行ったの。そこで、見せてもらって、硝子が、すごく素敵だったんだ。 …一度でも、沖縄の海に潜った事のある人なら、きっと、海の中にいる気持ちになれるの。 見てみる?それ。」 「あるんですか?それ。」 「あるよ。…でも、勝手に触ってたら、彰に怒られちゃうから、彰の手が空いた時ね。 あたし、おっちょこちょいだから、たまに、やっちゃうのよね。信じられないような、ドジ。」 そう言って、舌をペロッとだす。 「話の続きね、工房の玉城さんの話を聞いていて、琉球硝子の歴史も、わかったし、本物の海の中の景色を見れて、感動しちゃったの…だから、それを軸に、お話書きたいなって、思ってたんだ。」 「海…潜ったんですか?」 「ダイビングは、ライセンスだっけ、あれもってないから、ダメだったの…。 あ、彰は、潜ったよ。ライセンス持ってるからね。 船で、私は、留守番でした。…残念。 だから、今度、二人で行くときまでに、ライセンス取りたいんだけどなぁ…。 いまの調子じゃ、行く暇も、ライセンス取る暇も、ありません。 代わりにね、シュノーケリングは、教えてもらって、浅い所は、潜ったよ。 あれはあれで、面白いよ。いつか、横山さんも一緒に、行けるといいね。」 「…私も、一緒に。」 顔が自然とほころんでいくのが、わかった。
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