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「…彰、手の空いた時でいいんだけど、玉城さんのグラス、横山さんに見せてあげてほしいの。」
「横山にか?なんで?」
「…次の丸岡のやつね、沖縄絡みの話にするの。
それでね、海と琉球硝子の話をしてて、わかってもらうには、あれ、見てもらったら、納得してもらえるかなって…。」
「…横山、ちゃんとやる気出したんだな。」
「…うん。横山さんなりに、頑張ってるみたい。後、一押しってとこかな…。」
「そうか、横山が頑張ってるなら、千秋も頑張って、いい本書いてもらわないとな。」
「勿論、いいの書くつもりだよ。…でね、その前に、エネルギーの補充しないと、ねっ。」
「横山、出しにして、催促ですか?…千秋さん。」
「別に…出しにした訳じゃないわよ。グラスの事、お願いしただけじゃない…。…彰の意地悪!」
「…その意地悪さんが、お気に入りなのは、どこのどなたでしょう?」
「あたしだよ♪」
抱き着いてくる千秋に、ストップをかけると、ぷぅとむくれる。
「…ここは、事務所。ここじゃ、NGだって、言ってるだろ。」
「もう、誰もこないよ、この時間になったらさぁ。」
「…そんな事は、言われなくたって、わかってる。
甘い顔して、1回許したら、絶対、何回も、お願いって擦り寄ってくるだろ。目に見える…。」
「うぅぅ…、なんでわかるのよ…。」
「俺を、誰だと、思ってんだよ、ん?」
「あたしのダーリンだよぅ♪」
「わかってんなら、もう少し待ちなさい。…この書類、書き終わるから。」
「はーい。」
千秋は、大人しく、速水の隣、今、横山に与えられてる席に座って、速水の仕事が、終わるのを待っている。柔らかな笑顔で。
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