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「…終わった?」
「ああ、終わった。」
千秋の問いに、速水が、答えると、彼女は、すごく嬉しそうに笑って、窓の戸締まりやら、片付けを率先してやりはじめる。
「戸締まりOKだよ。帰ろう、彰。」
「…本当に…敵わないなぁ…お前にはさ。」
「えへん!あたしは、無敵なのだぁ!アハハハ!」
なにかのヒーローを真似て、変な決めポーズを千秋がするのを見て、
「…千秋、頼むから、変な事しないでくれ…笑いこらえ切れなくなる…。」
仕事している時とは、全然違う、二人だけの時の、素の笑顔と、本気の笑い声が、千秋は、好きだった。だから、止めてくれと言われても、やめなかった。
「…こらえなくて、いいじゃない。一緒に、笑っちゃいましょ。アハハハ!」
「…頼むよ…千秋…。ブフッ…ダメだ…アハハハ…。お腹、痛てぇ…アハハハ…。」
笑いながらも、速水は、千秋を掴まえる。
「…たっぷりお仕置きだ。覚悟しろよ。」
「えぇ~、嫌だぁ、お仕置きなんて…。ご褒美なら、もらってあげるよ♪」
「なら、遠慮なく…。」
速水の柔らかな口づけは、決して、お仕置きなんかじゃなく、ご褒美だった。
「ねぇ、お腹すいた?…ロールキャベツ作ったんだけど食べる?彰、好きでしょ?」
「食べるよ。お腹も心も、空いたから…まずは、千秋の料理で、お腹を満たして、デザートに、千秋を食べるかな。」
「ウフッ♪あたしは、いつでも、食べ頃だよ♪」
階上の自宅まで、短い時間だが、千秋は、速水の片腕に、両手を絡める。
すごく嬉しそうに…。
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