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千秋のロールキャベツは、出来が良かった。
今日のは、クリームソース仕立てで、速水は、すごく満足していた。
「…ごちそうさま。めちゃくちゃ美味かったよ。
千秋、腕上げたんじゃないのか?」
「本当に?ここに来てから、キッチンに立つ回数増えたからかなぁ?」
「…ああ、慌てなくていいから、ゆっくり食えよ。」
「うん…。」
速水が、キッチンで、珈琲を煎れる。
…ほんのりと珈琲独特の香ばしい匂いが、漂いはじめた…。
「…ここ、置いておくな。」
「ありがとう♪」
ゆっくりした時間が、流れる。
カップを片手に千秋が、速水の側に座る。
「…で、新しい話のプロットは、出来てるの?」
「うん。…玉城さんの所で、あのグラス見た後に、海に潜って、あたし、すごく感動しちゃったんだ。
その時の感動忘れないように、PCに書き留めといたんだ。」
「…知ってる。読んだ。」
「ええっ?!いつ、いつ読んだのよ?」
「ん?…沖縄で。」
「嘘だぁ…いつ読む暇あったのよ?…。」
「俺が、具合悪くなった夜に。」
「…ええっ?」
怪訝な顔をする千秋に、速水は、悪戯っ子みたいな顔で、話をする。
「嘘かどうか、確かめるには、中身を話せばいい。
テーブル珊瑚の玉座に座った、ポセイドン王の気分で、寄ってくる魚達に、指図したってやつだろ?」
「…盗み読みぃ…プライバシーの侵害だぁ。」
「俺とお前の間で、プライバシーなんて、もうなんもないだろうが…。
隠し事は、お互いに100%どころか、120%以上暴露しちまってんだぞ。
嘘やごまかしは、しない。隠し事は、しないって、最近も、約束しただろう。
お互い頭の先から足のさきまで、知りつくしてるだろうが…。」
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