PRESENT

14/53
前へ
/216ページ
次へ
千秋のロールキャベツは、出来が良かった。 今日のは、クリームソース仕立てで、速水は、すごく満足していた。 「…ごちそうさま。めちゃくちゃ美味かったよ。 千秋、腕上げたんじゃないのか?」 「本当に?ここに来てから、キッチンに立つ回数増えたからかなぁ?」 「…ああ、慌てなくていいから、ゆっくり食えよ。」 「うん…。」 速水が、キッチンで、珈琲を煎れる。 …ほんのりと珈琲独特の香ばしい匂いが、漂いはじめた…。 「…ここ、置いておくな。」 「ありがとう♪」 ゆっくりした時間が、流れる。 カップを片手に千秋が、速水の側に座る。 「…で、新しい話のプロットは、出来てるの?」 「うん。…玉城さんの所で、あのグラス見た後に、海に潜って、あたし、すごく感動しちゃったんだ。 その時の感動忘れないように、PCに書き留めといたんだ。」 「…知ってる。読んだ。」 「ええっ?!いつ、いつ読んだのよ?」 「ん?…沖縄で。」 「嘘だぁ…いつ読む暇あったのよ?…。」 「俺が、具合悪くなった夜に。」 「…ええっ?」 怪訝な顔をする千秋に、速水は、悪戯っ子みたいな顔で、話をする。 「嘘かどうか、確かめるには、中身を話せばいい。 テーブル珊瑚の玉座に座った、ポセイドン王の気分で、寄ってくる魚達に、指図したってやつだろ?」 「…盗み読みぃ…プライバシーの侵害だぁ。」 「俺とお前の間で、プライバシーなんて、もうなんもないだろうが…。 隠し事は、お互いに100%どころか、120%以上暴露しちまってんだぞ。 嘘やごまかしは、しない。隠し事は、しないって、最近も、約束しただろう。 お互い頭の先から足のさきまで、知りつくしてるだろうが…。」
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

678人が本棚に入れています
本棚に追加