PRESENT

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「…彰…待って…行かないで…あき…ぐすっ…。」 自分が蒔いた種だと、わかってる…。涙が溢れ出す。 …それでなくても、事務所を開いてから、二人でいる時間が、長くなってる。 だから、公私混同して、仕事に支障が出ないようにって、下の事務所では、愛を確かめ合うような行為は、NGにしたんだよね…。 なのに最近のあたしは、おかしい…。 所構わず、彰とベタベタ、いちゃいちゃしたくて、たまらない…。 ちょっとでも、離れているのが、苦しい…。 彰に、恋してた頃よりも、結婚してからの方が、苦しくて切ない…。 変だよね…そんなの…。 原因は、なんとなくわかってる。 鈴音さんと綾さん…。 二人の存在を知ってからだ…。あたしが、変になっていったのは…。 彰は、ちゃんと、二人の前で、あたしを選んでくれたのに…。 いつまで、こだわってるんだろう…。 今まで知らなかった、彰の過去や実家の人達の事を、知ってからだ…。 彰が、あたしの側から、いなくなる…そんな恐怖を感じるようになたのは…。 そんな事は、ありえないのに…。 それに、さっきのは、あたしが、悪い…。 言い出したのは、あたしなのに、なんで、拒んじゃったんだろう…。 なんで、あんなに、わがまま言ってんだろう…。 あたし、なんに、こだわってるんだろう…。 なんで、いつまでも、ぐだぐだと、考えてるんだろう…。 なんで、彰を試す様な事ばかりしてるのだろう…。 あたしは、彰を信じているはずなのに…。 心の底では、信じてないのかな…そうなんだとしたら、酷い女だ…。 さっきのは、絶対、彰、怒っているよね…。 頭冷やさなきゃいけないのは、あたしの方だよ…。
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