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「…初めてにしちゃ、上出来だな。
千秋に、プレゼン用のプロットを、作っとくように言ってあるからもらえ。
あるのと、ないのとじゃ説得力が、違うからな。
特に、お前みたいな口下手じゃ、尚更だ。
杉山さんの都合聞いて、昼からでも、社に、戻れ。」
「企画書、見ていただいて、ありがとうございました!」
速水に言われた、新刊の企画書を、チェックしてもらっていたのだが、そこからなぜか、話がズレていく。
「なあ、横山…谷口のどこがいいんだ?」
「へっ?何のことですか?それは…。」
いきなり谷口の話を振られて、ドギマギする…。
「ごまかすな…。二人で、仕事終わってから、会ってるだろ?」
「…あの…会ってた事、思い切りばれてます?」
「俺に隠し事しようなんて、100年早いんだよ…。」
そう言って、速水は、煙草をくわえる。
「…谷口のやつ、最近、俺の目を盗んで、お前とばっかり、しゃべくってるしな。
それに…俺は、担当の仕事で、悩んでるなら、杉山さんに相談しろって、言ったのに、行ってないだろうが…。となれば、どこに、誰に、相談する?
消去法使わなくても、谷口しか、残らねぇだろう…。
まあ、千秋、任せてんのは、仕事が出来る奴だからだけど…。」
「けど…なんなんです?
別に、付き合ってるとかじゃありませんから、私達。…その辺、誤解しないでください。」
「ふぅん…。まあ、付き合ってても、なくても、俺には、関係ないけどな。」
「なら、言わないでください…。」
「俺は、杉山さんより谷口に、相談した理由が、知りたかっただけだ。
勝手に、話を膨らませてんのは、お前自身だろうが…。」
顔が見る見る、赤くなる。余分な事まで、言ってる。
…谷口さんを、意識してるって、ばれちゃったかな。
とりあえずというか、本音でもあるんだけど、言い訳する…。
「…杉山さんには、ダメダメな所、山ほど見られてます。
…ここで、勉強させてもらってるのに、相談しに行ったら、何も身についてないって、思われるんじゃないかって…。」
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