PRESENT

25/53
676人が本棚に入れています
本棚に追加
/216ページ
速水と千秋の間に流れてる、微妙な空気と表情に、谷口は、気付いた。 「…なんなの?速水。…この微妙な空気はさぁ…。」 「…鈍感。」 「はぁ?何なの、千秋ちゃん?」 「谷口。…安心しろ、横山は、千秋の新作の企画を、杉山さんに説明しに、丸岡に帰ってるだけだ。 それより…お前、俺に隠れて、コソコソするなよ…。 他人の色恋に、口出しなんかしたくないけどな、ここは、俺のテリトリーな訳。 勝手して預かり物に、ちょかい、かけんなよな…。」 「…もしかして、彼女なんか、お前に言ったの?」 「俺が、自分で、気付きました。 …っていうか、ここに来て、最近、やたらに横山と、コソコソやってるから、ばれるんだろうが。 こっちにも、色々と事情があってな…。 横山には、わざと、杉山さんに相談してもいいって、話を振ったのに…。 よりにもよって、お前に、相談とは…。」 「駄目だったのか?!俺じゃあ、役不足だよな…。」 「…そうじゃないんだ…横山は、預かり物なんだよ。 丸岡に、杉山さんに、返さなきゃいけない存在なんだ…。 むやみやたらと、俺達の中に、取り込んだら、丸岡に、帰れなくなるだろうが…。 第一、お前は、ライバル社の担当だろう、今、へんな噂立てられたら、彼女、立場なくなるだろうが…。 そういう事、頭に入れてんだろうな?」 「…それは、もちろん。」 「…なら、いい。」 「それだけ?」 「まだ、色々、言われたいのか?谷口…。 お前、いい加減な気持ちで、横山、口説いてる訳無いよな?」 「当たり前だろ!…あの子、冗談、通じる子じゃないって、一番知ってるだろ、速水は。 心配するな…今のところ…俺の収穫は0だよ…。 初めて会った時に、今まで、感じた事のない感覚を、彼女から感じたんだ…。 だから、いきなりだったけど、彼氏いないなら、俺と付き合ってみない?って…馬鹿だよな…俺。 速攻、断られちまった。 それでも、俺を見るなり、“天の助け“って、言って、俺を頼ってくれたらさ、頑張らなくちゃならないだろう…男ならさ…。」
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!