PRESENT

27/53
前へ
/216ページ
次へ
「…さて、次、行くか。」 次の目的地は、山河書房。途中で、差し入れ用の菓子を買って、久しぶりに、山河に…。 エレベーターの扉が開くと、前に、美里が、立っていた。 「わっ!速水君!…びっくりした。」 「よおっ!久しぶり。…部長いる?」 「…あ、今、会議中。ちょっと、待ってもらわないと駄目だけど…。」 「…じゃあ、待ってるわ。 千秋、部屋貸してもらって、仕事するか?」 「ウ~ン。谷口さん、いるかな?いたら、やる。」 「了解。…美里、足止めて、悪かったな。」 手を挙げて、ひらひらする。 「…はいはい。相変わらずよね、速水君は。」 くすっと、笑いながら、美里は、エレベーターの中に消えていった。 「こんにちわ。」 にこやかに、文芸部の部屋に、速水が、入っていく。 「おぅ!速水。生きてたか!」 「生きてたかは、ないでしょ…。」 「こんにちわ。」 「…よ、吉水先生!! …すいません。気付かず!ご一緒だったんですね。」 「はい。…速水が、いつもお世話になってます。」 妻としての挨拶も最近は、様になってきた。 「えっと…谷口は?」 「…今日は…ああ、田所先生の所に、新刊見本持って行ったから、もう帰って来ると思うけど。」 「了解。…部長にも、用あるから、待たしてもらうわ。」 「…じゃあ、こっちへどうぞ。」 来客用のブースに、案内してくれる。 「ああ、やっぱり、ここ落ち着くなぁ。」 「…彰、長い間、ここで、仕事してたんだもん。当たり前じゃない。 …もしかして、里心が、ついたの?」 「馬鹿言うなよ、千秋。」 佳奈が、お茶を持ってきてくれた。 「速水君、吉水先生、どうぞ。」 「ありがとう、佳奈。 …そうそう、千秋、それ、渡すんだろう。」 「いけない、忘れてた。 佳奈さん、これ差し入れなの。 たいした物じゃないけど、文芸のみんなで、食べてね。」 「すいません、お気を使わせて。 後で、みんなで、いただきますね。」 程なくして会議の終わった児嶋と、田所の所から、谷口が、帰って来た…。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

678人が本棚に入れています
本棚に追加