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「…さて、次、行くか。」
次の目的地は、山河書房。途中で、差し入れ用の菓子を買って、久しぶりに、山河に…。
エレベーターの扉が開くと、前に、美里が、立っていた。
「わっ!速水君!…びっくりした。」
「よおっ!久しぶり。…部長いる?」
「…あ、今、会議中。ちょっと、待ってもらわないと駄目だけど…。」
「…じゃあ、待ってるわ。
千秋、部屋貸してもらって、仕事するか?」
「ウ~ン。谷口さん、いるかな?いたら、やる。」
「了解。…美里、足止めて、悪かったな。」
手を挙げて、ひらひらする。
「…はいはい。相変わらずよね、速水君は。」
くすっと、笑いながら、美里は、エレベーターの中に消えていった。
「こんにちわ。」
にこやかに、文芸部の部屋に、速水が、入っていく。
「おぅ!速水。生きてたか!」
「生きてたかは、ないでしょ…。」
「こんにちわ。」
「…よ、吉水先生!!
…すいません。気付かず!ご一緒だったんですね。」
「はい。…速水が、いつもお世話になってます。」
妻としての挨拶も最近は、様になってきた。
「えっと…谷口は?」
「…今日は…ああ、田所先生の所に、新刊見本持って行ったから、もう帰って来ると思うけど。」
「了解。…部長にも、用あるから、待たしてもらうわ。」
「…じゃあ、こっちへどうぞ。」
来客用のブースに、案内してくれる。
「ああ、やっぱり、ここ落ち着くなぁ。」
「…彰、長い間、ここで、仕事してたんだもん。当たり前じゃない。
…もしかして、里心が、ついたの?」
「馬鹿言うなよ、千秋。」
佳奈が、お茶を持ってきてくれた。
「速水君、吉水先生、どうぞ。」
「ありがとう、佳奈。
…そうそう、千秋、それ、渡すんだろう。」
「いけない、忘れてた。
佳奈さん、これ差し入れなの。
たいした物じゃないけど、文芸のみんなで、食べてね。」
「すいません、お気を使わせて。
後で、みんなで、いただきますね。」
程なくして会議の終わった児嶋と、田所の所から、谷口が、帰って来た…。
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