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「…お久しぶりです。」
「本当に、久しぶりだぞ、速水。…たまには、顔出ししろ。」
「すいません…部長。」
「で、なんの用だ?」
「4日ほど、谷口借りてもいいですか?」
「4日もかぁ…何するんだ?」
「千秋の取材旅行に、谷口借りたいんです。
今度、丸岡から出す新刊の対になる話を、山河から、出そうと思うんですけど、どうですか?
企画書、あげてきたんで、見てもらえます?」
「…見せてみろ。」
速水の企画書に、児嶋は、目を通す。
「なるほど…まあ、いい企画だけどな。」
「丸岡の杉山さんには、了解取ってあるんで、部長に、許可もらえれば、山河の分も、千秋は、頑張って書きますよ。なっ、千秋。」
「…どうしても、書きたいお話なんです。駄目ですか?児嶋さん。
丸岡の受賞とか、事務所の事とか、迷惑ばかりかけちゃって…私の出来る事は、いい作品書いて、山河に、お預けする事だけですから…。」
「吉水先生が、そうおっしゃるなら、仕方ありませんね。
で、速水、いつから行くんだ?」
「15日から18日まで。」
「了解した。…連れて行って、こき使え。役に立たなけりゃ、海に沈めてきていいぞ。」
「部長!…谷口、帰ってきましたよ。」
ブースの外から、声がかかると、
「…こっち、こさせろ!」
と、答える。
「…部長なんか用すか?」
何も知らずに、谷口が、顔を出す。
「あれ?…速水。千秋ちゃんも来てたの。」
「おかえりなさい、谷口さん。」
「谷口、15日から18日の予定、調整して空けろ。
吉水先生と、沖縄だ。」
「へっ?沖縄!」
「…急で、ごめんなさい。取材旅行に、ついて来てほしいの。お願いします。」
「…と言うことだ。頼んだぞ。」
児嶋は、谷口の肩を、ポンと叩くと、席をたった。
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