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「…ああでもしないと、部屋に戻るきっかけ、俺も、速水も、どっちもないでしょ。
ほっといたら、朝までだって、俺達、飲んじゃうからね。」
「強いんですね、お酒…。私は、ダメ…。缶ビール1本が、限界…だから、さっきも、あんまり、飲んでなかったでしょ。」
「それじゃあ、朝まで、飲むの付き合っては、もらえないな…。」
苦笑いする昴に、残念そうに、谷口が言う。
その顔を見て、昴は、思わず、言ってしまった。
「一人酒なんて、しないでください!…飲めないけど、側に、私いますから!」
言い終わった瞬間、谷口に、昴は、抱きすくめられた…。
「…た、谷口さん?!」
「…ごめん…ちょっとだけでいい…このまま…。」
ただ抱きしめているだけ、それでも、谷口は、幸せな気持ちになれた。
「えっ?昴ちゃん…」
昴が、自分から体を預けてきた。
「…もっと、ギュッと抱きしめて。」
「いいの?」
昴は、谷口の腕の中で、小さく頷いた。
ギュッと、抱きしめると、小さな吐息を、谷口の胸元でつく。
「…昴。」
名前を呼ばれて、上げた顔に、谷口は、優しく微笑んで、キスをした。
「…好きだ、昴。君が…大好きだ。」
その後、何度も何度も、キスをした。
キスをされる度に、身体の奥から、何かが溢れ出る感じがする。
唇から、こぼれ落ちる言葉は、今の正直な気持ち…。
「…好き…あなたが…好き…。」
「うん。…俺も、君が好きだよ。」
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