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「君達、仲良すぎだよ。まあ、毎度の事だけどさ。」
高見沢は、呆れていた…。資料を届けに来るのは、速水だけだと思っていたら、横に、しっかり、千秋がついて来ていたからだ。
「…高見沢さんの意地悪! 馬鹿っ!
あたしが、いたらいけないの?
自分の本の事だから、ちゃんと説明して、描いてもらおうと思ったのに!
あたし、彰のオマケじゃないんだから!」
「…ああ、ゴメン。悪気あった訳じゃないんだ…本当に。」
ご機嫌斜めになってしまった千秋を、なだめようと、高見沢は、謝るが、珍しく千秋は、なかなか機嫌を直さない…。
困りきった高見沢は、速水に、助けを求める。
「仕方ないなぁ…。」
渋々、千秋を説得する。
「千秋、機嫌、直してやれよ。
…高見沢、困ってるだろ。
それに、仕事が滞ると、谷口達に迷惑かかるぞ。嫌なんだろ、それは?」
「…嫌だ。」
「なら、機嫌直して、高見沢に、説明して。」
「…わかったよ。」
資料を出して準備している間に、高見沢は、お茶の用意をしてくれた。
「…それで、2社分、2冊、同じテーマコンセプトって話だったけど?」
「今度は、沖縄が舞台のお話なの…。
それで、装丁のデザインは、海と珊瑚礁をイメージして欲しいの。
写真、撮ってきたから、参考にして。」
谷口の撮った写真が、何枚も並べられる。
海の中で、魚と戯れてる千秋の写真を手に取り、驚いた。
「ええっ!千秋さん、潜ったの?!」
「2回目だ。…っていっても、こいつは、シュノーケリングだけだけどな。
写真は、谷口が撮った。」
「玄人はだしだね、谷口さん。…すごい器用だな。」
「水中撮影は、佐伯先生の仕込みらしいぞ。
…器用なのは、あの先生だろう。趣味多いし…。」
「佐伯先生の担当だったよね、谷口さんって。」
「そうだよ。…俺のとばっちりで、後、田所先生と木佐先生、そんでもって、千秋も担当。
今、山河で、一番忙しいんじゃないかな。」
「酷いなぁ、君のせいで忙しくなってるのに、笑う所かい、そこ…。」
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