46:酒場の夜

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アルバートが、長く悲しい物語を語り終えると、騒がしい店内の一角にひと時の静寂が訪れる。 誰もが悲哀の表情で、声を発することもなくその場に佇んでいた。 やがて店のドアが開き、新たな客が来店すると、ティファの隣でカウンターに寄りかかって話に耳を傾けていた女性、ウェイトレスのリオーネがその客を案内するためにその場を去った。 リオーネの、客を迎える声と談笑が聞こえてくる。 続いて女主人であるエルガが厨房へと戻っていった。 アルバートはいささか温くなってしまった麦酒の入ったジョッキを、グイッと一気に煽り、乾いた喉を潤す。 ティファも止めていた手を再び動かし、目の前の皿に盛られている瑞々しい果物を頬張る。 「・・・それで、その後はどうしたんだい?」 ややあって、アルバートの向かいに座るクリフが尋ねる。 「その後、フェリジアを埋葬して、俺達とラファエルはそこで別れることになったんだ。」 空になったジョッキを振り、クリフに催促しながらアルバートが言った。 クリフは再び新しい麦酒を準備しながら更に尋ねる。 「彼は一体どこへ?」 アルバートは冷えた麦酒を受け取りながら、故郷だ、と答える。 「私達は今回の事件の顛末をハイネの町へと報告しなければならなかったし、ラファエルは一旦ダークエルフの故郷に戻って、借りていた武器を返すって言ってた。」
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