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「どんな風貌だった?これくらいの身長でこれくらいの髪で、全身が武器だらけで、えっとセロっていうハイウルフ連れてた??」
やや興奮気味にティファが身振り手振りでラファエルの特徴をオリガに伝えている。
「いや、マントにフードをすっぽり被っていて、顔まではわからなかった。それに、そのときは確か一人だったはずだ。」
ティファの様子に苦笑しながらエルガが答えた。
その答えに肩を落とし、残念そうな表情を浮かべるティファ。
そんなティファにエルガは声をかける。
「でも、二人の話を聞いて、おそらくその人物に間違いないだろうとは思う。」
顔を上げ、きょとんとするティファ。
その手には相変わらず、果物。
「・・・ティファ、その果物美味しいかい?」
突然何の前触れもなくエルガがティファに聞いてくる。
あまりにも突拍子もなかったので、口に含む直前でティファの動きが止まる。
「・・・ふぇ?・・・あ、あぁ、うん。」
間の抜けた返事を返しながら、ティファの顔が若干赤らめる。
「確信はないんだが・・・。」
エルガも、様々な果物のうちの一切れを口に運びながら呟く。
採れたてであろうその果物はとても瑞々しく、口の中で芳醇な甘さが柔らかく広がる。
「この果物はおそらく、ラファエルからのものだと思う。」
意外なエルガの言葉に、思わずその果物を凝視する。
ラファエルが来店して果物を置いていった?
想像することがなかなか難しく、ティファが首を傾けている。
「どういうこった?」
同じくアルバートも繋がりが掴めず、エルガに尋ねた。
エルガは思い出すように、ゆっくりと口を開く。
「・・・昨日の夜のことだったんだが・・・。」
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